人生は積み重ねだと思っていないか。岡本太郎さんはこういう。財産も知識も蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失う。そう、逆に「積み減らすべき」だと思う。
自分の中に毒を持て<新装版> (青春文庫) [ 岡本太郎 ]
自分らしくよりも人間らしく生きる
人生に挑み、本当に生きるには、瞬間瞬間に新しく生まれかわって運命をひらく。それには心身ともに無一物、無条件でなければならない。捨てれば捨てるほど、いのちは分厚く、純粋にふくらんでいく。自分に忠実という人に限り、自分を破ろうとしない。忠実の「忠」とは、「まめやか、まごころを尽くす」ということで、自分に対してきびしく、残酷に挑むこと。社会的な状況や世間体とも闘い、自分に対しても闘う。結果が思うようにいかなくても、自分は筋をつらぬいたんだと思えば、これほど爽やかなことはない。かっこよく生きるのではなく、人間らしい「生きる道」を考えてほしい。
己が最大の味方であり敵である
人生を真に貫こうとすれば、必ず、条件に挑まなかればならない。いのちを賭けて運命と対決するのだ。その時、切実とぶつかるのは己自身だ。己が最大の味方であり、また敵なのである。今日の社会では進歩だとか福祉だとかいって、誰もがその状況に甘えてしまっている。システムの中で、安全に生活する事ばかり考え、危険に体当たりして生きがいを貫こうとすることは稀である。自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまう。
三日坊主でもかまわない
何かをはじめても、続かないんじゃないか、なんて余計な心配はしなくていい。ふと惹かれるものがあれば、計画性を考えないで、パッとなんでもいいから手を出してみるといい。つまり、さまざまのバリエーションで自分の運命を試すという「計画」をもつことになる。三日坊主でもかまわない。その瞬間にすべてを賭けろといいたい。「いずれやる」なんていうやつに、本当の将来はありっこない。ベストをつくすには、現在のこの瞬間だ。
昔、表参道の岡本太郎博物館へフラッと入った時に、自分の理解を超えた作品、例えば、座ることを拒否する椅子などが数多く展示されていました。見終わって何気なく感想を書くノートが置いてありのぞいてみると、そこには文字の感想ではなく、子供たちが自由に描いている絵があり感動しました。作品をみて、感化されたのでしょう。下手でもいいんです。自分が思うものがそこにはありました。自分も含め大人たちは凝り固まった世界で生きています。作品を見た子供たちの方が感じるものがあるのでしょう。本を読んだら、ぜひ美術館にも足を運んでほしいです。
<目次>
1章 意外な発想を持たないとあなたの価値は出ないー迷ったら、危険な道に賭けるんだ(自分の大間違い/“モノマネ”人間には何も見えない ほか)
第2章 個性は出し方 薬になるか毒になるかー他人と同じに生きてると自己嫌悪に陥るだけ(“爆発”発想法/道は一本か、十本か ほか)
第3章 相手の中から引き出す自分 それが愛ーほんとうの相手をつかむ愛しかた愛されかた(愛の伝え方を間違えると/“その一瞬”を止める方法 ほか)
第4章 あなたは常識人間を捨てられるかーいつも興奮と喜びに満ちた自分になる(きれいになんて生きてはいけない/頭を遊ばせて世の中を見てみよう ほか)