広告宣伝や営業販促、商品開発を担当している人たちは、もっともっと変化のスピードを上げていかなくてはいけない。消費者はどんどん変わっていっている。そもそも消費者という言葉はもう古い。彼らは「消費するだけの者」ではすでにないからです。感度のいい人たちは「生活者」とか「ユーザー」とか「オーディエンス」などと呼んでいる。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法【電子書籍】[ 佐藤 尚之 ]
<第一章までの内容紹介>
広告はラブレター
広告とは、もともと商品に関心すら持っていない相手にこちらを振り向かせ、あわよくば好きになってもらい、買ってもらおうと画策する、わりとハードルの高いコミニュケーションです。十数年前は広告というラブレターを相手に渡しやすかったし、他に楽しいことがなかったので喜ばれもした。渡したラブレターも相手が読んでくれていました。新商品を開発すれば歓迎され、大量消費が善とされていた時代には広告はよく効いたのです。
いまやラブレターを受け取ってさえくれない
それはインターネットが普及したことで、一変しました。広告というラブレターは届きにくくなり、他に楽しいことが山ほどある状態になりました。ラブレターは信じてもらえなくなり、しかも友達と子細に検討し、友達に判断を任せたりするようになりました。インターネット上には商品を購入した人を中心にその分野の人たちに丸裸にされ、消費者の評価サイトで様々に解剖されてしまいます。広告よりもそちらの声を信じる状況となりました。
モテない人はどうしたらよいのか
急にモテなくなった状況ではどうしたらよいのか。相手の興味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になって考え、相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを渡すこと。他に楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説き、相手の友達にも気に入られるように十分ケアをすることです。メディアが急増し、消費者の行動も格段に複雑になりました。幸いネットの進化により細かく消費行動を追えるようになり、コンタクト・ポイントの分析も進みました。「買わせたいダーゲット」として送り手発想はもうやめて、「買いたい人」の身になって商品を分析する受けて発想が必要となりました。
<レビュー>
この本は2008年に発刊されたものですが、消費者視点でどのように考えるかの基本は変わらないので、今読み直してもためになる内容です。情報が溢れかえっている世界で、何を信じていいかわからない消費者たちは、信頼できる声として生の声に頼ります。広告とコミニュケーションを志すひとにとっては、ためになるヒントがたくさん掲載されています。
<目次>
第一章 消費者へのラブレターの渡し方〜広告のいう名の「口説き」の構造
第二章 広告はこんなにモテなくなった〜変化した消費者と広告の20年
第三章 変化した消費者を待ち伏せる7つの方法〜彼らと偶然を装って出会うために
第四章 消費者をもっともっとよく見る〜コミニュケーション・デザインの初動
第五章 とことん消費者本位に考える〜スラムダンク一億冊感謝キャンペーンより
第六章 クリエイティブの重要性〜商品丸裸時代とネオ茶の間の出現
第七章 すべては消費者のために〜消費者本位なチームづくり