糖質制限の魅力的な仮説

人生を楽しむ本

本書では、中年のオヤジでもスリムに変身すできる方法を紹介しています。この方法なら誰でも簡単に、短期間で努力なしに、ほぼ痩せられるという脅威の内容です。著者が70キロの大台に近づき、インターネットで江部康二先生の記事を読み、物は試しとご飯の量を減らしたところ、体型が学生時代に戻りました。その理由を医者の探究心で深いところまで解説しています。

糖質制限は面白い

もともと「外傷の湿潤治療」の外科医であり、ダイエットとか食事療法から一番遠いところにいる人間でした。傷の治療ばかりしている外科の医者が、なぜ糖質制限の本を書いているのかというと、単純に面白いからである。自分の身体を実験台にしてできる人体実験としての面白さであり、自分の体型と体重と体質がみるみる変化する面白さでもあります

糖質制限の奥深さ

「君が何を食べているのか教えてくれれば、私は君がどんな人間かを当てて見せる」と書いたのは、フランスの法律家、政治家にして美食家のジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランだが、まさに「ホモ・サピエンスが何を食べていたのかを知れば、ホモ・サピエンスとは何かを知ることができる」のである。糖質制限がもつこの「奥深さ」が科学する者を自任する人間の心を捕らえてやまないのです。

文字どおりの「甘い罠」

定説になっているのは「縄文時代は狩猟採取生活に終始した石器時代で、弥生時代にイネの栽培が始まったことから農耕文明が開花し、日本国成立の基礎が作られた」という説ですが、世界各地の歴史をひもとくと、コムギやイネといった穀物の栽培開始が、人口増加をもたらし、社会を複雑化させるにいたった原動力であることは、議論の余地がない事実です。しかし、穀物栽培により、ホモ・サピエンスが失ったものも多かったのです。食生活の質という面では、じつは狩猟採取時代(縄文時代)の方が、農耕時代(弥生時代)より豊かだったのです。穀物は天のめぐみだったことは間違いないが、文字どおり「甘い罠」でもありました。

我が子が幼少期に、自転車で派手に転倒して顔に擦り傷だらけの怪我をしたことがありました。その時に夏井陸先生の「傷はぜったい消毒するな」の本を読んでいたので、湿潤治療をしたところ、おかげさまでキレイに傷が治りました。その本も当時は常識を覆すような内容でしたが、この本も例外ではありません。ご飯やうどんは消化が良いと一般的に思われていますが、泥酔して嘔吐した時には、肉などはキレイに消化され、目に入ってくるのは米粒とうどんと野菜です。タンパク質は消化しやすいのに、炭水化物はいつまでも残っているなど、納得の内容です。今ではコンビニで炭水化物以外のものが多く売られるようになりました。この本ではなぜ炭水化物と砂糖類を食べないと痩せるのか。またそのこと以外にもなぜうれしい効果があるのかをわかりやすく解説しています。

炭水化物が人類を滅ぼす〜糖質制限からみた生命の科学〜【電子書籍】[ 夏井睦 ]

<目次>
1 やってみてわかった糖質制限の威力
2 糖質制限の基礎知識
3 糖質制限にかかわるさまざまな問題
4 糖質セイゲニスト、かく語りき
5 糖質制限すると見えてくるもの
6 浮かび上がる「植物のカロリー数」をめぐる諸問題
7 ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相
8 糖質から見た農耕の起源

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