「古事記(ふることぶみ)」は稗田阿礼(ひえだのあれ)が口伝えに伝承してきたものを、大安万侶(おおのやすまろ)が聞いて記録した、いにしえぶりの語りの書、とされてきたものです。この書では、著者の鎌田東二さんが記憶やイメージを頼りに何も見ずに古事記を物語り、記録したものです。
<序(はじめ)・あとがきより>
大きな流れや大意に沿った口語
この本は「古事記」の上巻の神話、すなわち“神物語り”の部分だけを口語に訳したものです。大きな流れは「古事記」に沿っているけれども、一文一文は鎌田東二さんが解釈した訳であり、自由訳といえる構成になっています。つまり、現代風にテンポの良い口調やリズムで語った新しい「超訳」となっています。
序(はじめ)
これはこの世の元始め
ふることぶみの神がたり
古事記(ふることふみ)の物語り
天地開闢(あめつちひらけ)の天語り
天地初発(あめつちはじめ)の神語り
産霊(むすび)の神の ちからもて
天神地祇(てんじんちぎ)が 現れて
地水火風(ちすいかふう)かためなし
万有和楽(ばんゆうわらく)の気満ちて
神の徳力(いさおし) 地にあふれ
青人草(あおひとくさ)を うるおわす
五穀豊穣(ごこくほうじょう) 襧ぎもうし
天の斎庭(ゆにわ)に 神集い
地の斎庭(ゆにわ)に 人和み
天照る 地照る 人照ると
結び固めし 神の縁
天地初始(あめつちはじめ)の 神語り
これはこの世の元始め
ふることぶみの神がたり
古事記(ふることふみ)の物語り
天地開闢(あめつちひらけ)の天語り
天地初発(あめつちはじめ)の神語り
ふることぶみの いのり なり
ふることつたえの まつり なり
ひのもとつたえの かたり なり
<レビュー>
神話は物語です。口承伝承です。口から口へ、耳から耳へ、語り伝えられたものです。宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」で言えば、大ババ様が言う、「その者、青き衣を着て、金色の野に降り立つべし。失われた大地との絆を結び、人々を青き清浄の地に導かん」という、古き言い伝えと同じです。それを現代で古事記を何も見ずに物語り記録したのがこの書となります。古事記とはどんなものなのかをざっくり知る入門用としておすすめします。
<目次>
SCENE:1 世界の誕生
SCENE:2 天の国
SCENE:3 地の国
SCENE:4 国譲り
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