野球では侍ジャパンで日本中が沸いていますが、将棋の世界では藤井聡太が史上最年少の六冠達成できるのかが注目されています。将棋の人口はコロナ禍もあり、やや減少したとはいえ500万人(レジャー白書2022)となり関心を持つ層は増えているのに、野球のような精通した評論家やライターが少ないので、おもしろさが伝わっていないのが現状です。
今回おすすめする本は、そんな将棋の世界の本質的なエッセンスをわかりやすく、そして「ビジネス」などにも役立つ将棋ロジック85と名棋士から学ぶロジック15の計100項目におもしろくまとめた一冊です。棋譜や駒の動かし方も最小限に説明してあるので将棋をまったく知らない人にも、読める構成になっています。
性格タイプを将棋の「駒」で見極めてみよう
将棋の駒は8種類あります。
地道な「歩」、猪突猛進の「香」、フットワーク軽い「桂」、最前線で戦う「銀」、どっしり構える「金」、違う視点の「角」、プロデューサー役の「飛」、リーダー的存在の「玉」など、自分はどれに当てはまるのか考えることで、他人と違う視点で世の中を見れる「将棋思考」を得られます。
斜めに効く「角」が「妙手」を導く
企画を立てる際、何かこれまでにない新規軸を打ちだそうとおもったら、会議の時に思い切って周りから変わり者の「角」タイプを呼んで、独自の視点で意見をもらうといい。将棋の世界でいう「絶妙手」と呼ばれる、「斜めの視点」で思いつかなかったヒントが得られる可能性があります。
「感想戦」は上達の早道、「読み筋」披露で意見交換
プロ棋士では、終局後に「感想戦」が行われるが、対局中にどんな手を読んでいたのか、盤面に現れた以外の手も含め、読み筋を披露しあいます。この感想戦は非常に有益で、自分のノウハウをライバルにも惜しみなく披露します。そのことでより成長していくのです。
「2枚換え」は積極的に、「大駒1」を「小駒2」と交換
将棋には「2枚換えなら歩ともせよ」という格言がある。文字通り、大駒の(角・飛)1枚を小駒(金・銀・桂・香・歩)2枚に交換することを指すが、強力な駒1枚より、並の働きの駒2枚の方が有利ということです。
たとえば、角1枚と桂・香2枚を交換したとすると、角は成って「馬」になっても動けるマスが前後左右4つ増えるだけですが、桂・香は敵陣に打って1手動かせば成って金と同じ働きになる。
優秀な部下一人より、並の二人を抱える方が効率があがる。
藤井聡太は、小5で「龍馬がゆく」読破
彼の趣味は読書でジャンルも多岐にわたります。お母さんが歴史小説好きだった影響だそうです。他に旅行記の沢木耕太郎「深夜特急」をはじめ、村上春樹「遠い太鼓」、椎名誠のSF小説「アド・バード」など読み応えのある本ばかりを読んでいたそうです。本を読むことで、さまざまな人々の人生を擬似体験することでもあり、今の将棋の強さの原点でもあるとおもいます。
私は幼少期から父と将棋を指していたことで、通っていた小学校でドラえもんにでてくる出来杉くんのような勉強ができた人と将棋クラブで良きライバルでした。そのため勉強はできない方でしたが、周りの人たちからは頭がよいと思われていたのを思い出します。ちなみに私は「角」タイプだと思います。将棋好きな人、将棋を全く知らない人でも、この本は興味が湧く内容です。そして興味が湧いてきたならば実際に将棋を指してほしいです。新たな景色がみえてくると思います。