この本の著者の目的は、「現場で中小企業研究や、がんばる中小企業の支援をする」ことです。とりわけ長期にわたり高業績を維持していて、社員と顧客の満足度が高い企業を紹介しています。
五つの言い訳
会社の問題は内ではなく外と嘆き悲しむ、被害者意識に凝り固まった中小企業はよく五つの言い訳をします。「景気や政策が悪い」「業績・業態が悪い」「規模が小さい」「ロケーションが悪い」「大企業・大型店が悪い」こうしたタイプの経営者にお会いしたあとの帰り道は現場や事務所で懸命にがんばっている社員やその家族、さらに下請け企業の社員などを思い浮かべつらくなります。
会社は誰のためにあるのか
ここ数年、会社の不祥事がとても多くなっています。多くの人が勘違いをしているのですが、会社は経営者や株主のものではありません。大小にかかわらず、従業員やその家族、顧客や地域社会など、その企業に直接かかわるすべての人々のものなのです。ですので、行政機関や商工会議所などが、「私的なもの」である会社を、政策、税制、金融、技術、経営面で支援をしています。広く社会のものと考えるべきものです。
本当の経営とは
会社には、「五人に対する使命と責任がある」と考えます。
その優先順位は、
1、社員とその家族を幸せにする
2、外注先・下請企業の社員を幸せにする
3、顧客を幸せにする
4、地域社会を幸せにし、活性化させる
5、自然に生まれる株主の幸せ
といえます。会社は所属している社員とその家族を一生懸命支えている家族を幸せにすることが第一の使命です。「多くの会社は、”お客様が第一”としているのになぜ?」と思われるかもしれませんが、お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければいけない社員が、会社に対する不平や不満、不信の気持ちに満ちているようでは、お客様が満足するようなサービスや商品を提供することはできません。
2008年に1巻を発行してから、現在は8巻まで出版しているベストセラーの本です。それぞれの会社が本当に大切にしたいと思う理念をかかげています。1巻には社員の7割が障害者の「日本理化学工業株式会社」が紹介されていますが、売り上げをあげるために、利益を上げるために存在しているのではありません。本当に人々に必要とされ、社員たちも誇りを持って働くことができる、その結果、みんなが幸福を感じることができる、そんな会社になるために存続しています。読むたびに感動してしまうエピソードに涙してしまいます。2023年の24時間テレビのドラマにもなっていた会社です。