本田氏は電通を33年間勤め上げた後に早期退職することになり、ラストメッセージとして講演をすることになった。電通生活の精算だと割り切り恥ずかしいことも失敗談も全部話した。結果は大爆笑の講演となり、思いのほか、「ためになった」という感想を頂いた。この時、劣等生だった著者が徐々に成長していったノウハウの中にこそ、伝えるべきものがあるのではないか。本書は仕事で悩んでいる若い人たちに気持ちが楽になる「えっ」というヒントが79話掲載しています。
僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話【電子書籍】[ 本田亮 ]
みんなスティーブ・ジョブスになりたいわけではない
成功するためのアドバイスが多いと思うが、みんながみんな孫正義やスティーブ・ジョブスになりたいわけではないと思う。ほとんどの人は、今よりもう少し効率よく仕事をしたい、今よりもっと楽しく仕事をしたい、今よりもっと豊かになりたいと考えているのではないだろうか。この本は会社で一番優秀にならなくてもいいけど、会社で1番幸せに仕事ができる人の仕事術書である。
広告は勝てば天国、負ければ地獄の世界
広告の世界で勝ち残るには大変なことです。そのため勝率の高い人には仕事が集中してしまいます。同じクリエイターでも忙しい人とまるで暇な人の差がはっきりしてしまうのが、この仕事です。広告業界は派手な仕事に見えますが、企画作業やプレゼン準備、広告制作作業すべてが深夜に及ぶことが多いハードで地道な仕事なのです。
バランスが悪い人間の方が魅力的
テレビCMで重要なことはまず目立つこと。その次にいい印象で覚えてもらうこと、そして最後に、買ってもらうためのメッセージをしっかり届けること。これは仕事上の人間関係でも同じことで、たくさん名刺交換をした後で、よく覚えている人とまったく覚えていない人がいる。どんなにいい仕事ができても、薄い印象では遅れをとっている。だから人より10倍以上多くやっていることを作った方がいい。極端にずば抜けてやっていることがあると、その知識やライフスタイルが必ずどこかで役に立つことになる。人より10倍映画を見る。10倍タイ料理を食べる。なんでもよい。人は普通ではない、バランスの悪さで覚えられる存在となるのです。
プレゼンはかっこよくなくていい
電通に入って意外だったのは、「おもしろい企画」を出せば誰もが「おもしろい!」と言ってくれるのだと思っていた。しかし「おもしろい企画」を出すのは仕事の半分で「おもしろい企画だと相手にわかってもらう」ことが仕事なのです。かっこいいプレゼンテーションをしても、クライアントの反応がまるでないこともある。なぜなら相手は立派な講義や講演を聞きにきているわけではないからで、みっともないくらいでもいいから全身全霊で必死に思いを伝えたり説明することが重要なのです。言葉がどもろうが不正解だろうがよいのです。
<目次>
1章 会議やプレゼンで「何」をするか?
2章 企画を考えるコツ
3章 心が折れるような失敗をしたときは
4章 できる人は「ここ」が違う
5章 時間管理のツボ!
6章 ちょっとのことで大きなサガつく「仕事の習慣」