服部さんは、アメリカのアルゴンヌ国立原子力研究所で原子力について学んで帰るや、静岡県御前崎市にある浜岡原発の一号機、二号機の建設にかかわりました。のちに高速増殖炉「もんじゅ」「ふげん」の建設にもかかわりましたが、原発の大型化、複雑化に疑問をもち、訴え続けていた人物です。そんな服部さんはその当時から主張していたのが、「小型原子炉」でした。
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<はじめにより>
シンプルな小型原子炉をつくるべき
服部さんは当時から訴えていました。「いまの原発は、大型化がますます進み、機械の数、動く装置の数が多すぎる。その分だけ故障が多くなる。いつか大変な事故がおこりかねない」と。それゆえ、シンプルな小型原子炉をつくるべきだというのです。
事故が起こっても自然に止まる
服部さんは中部電力の社員でありながら、東京工業大学の大学院原子核工業修士課程にいたころ、直径1メートル以下の炉心であれば、安全ということを発見しました。どんな事故でも事故が起きると原子炉の温度が上昇してしまいます。ですが、小さな炉心ならば万が一事故が起こっても温度があがり密度が下がれば、中性子の多くが他の原子核にぶつからずに炉心の外へ飛び出していくようになります。炉心のサイズを小さくして中性子の漏れる量を多くすれば、事故時に連鎖反応は自然に止まるのです。
電源喪失こそ、リスクが高まる
現在の原発はどのような事態に陥っても電源を確保できる状態さえ保っていれば、安全性は0.99にまで引き上げられる。つまり、逆に考えれば、電源の供給がなくなれば、どれほど高度な技術を駆使した冷却装置であろうと動かない。安全性の確立を0.99から0.96に引き下げている巨悪の根源は、電源そのものだったのです。そのためにはディーゼル発電機を何台も併設して常時運転することが必要でしたが、世界のどこの原発もそこまではしていなかったので、受け入れてもらえませんでした。
<レビュー>
原発は水を冷却材として使用しますが、水は100度という低い沸点で容易に蒸発してしまうので、蒸発で水が無くなると燃料棒が露出します。するとジルコニウムが溶けて、そこから水素ガスが発生し水素爆発に至る危険性がありました。これは水を冷却材にする軽水炉、重水炉の本質的な弱点でもあります。服部さんが考えた小型原子炉は冷却材にナトリウムを使用します。沸点が高いので冷却材の循環が止まっても蒸発しにくいのです。しかも小型原子炉は全出力運転時も中心温度は800度です。現在の原子炉は2600度ですので比較するととても低い温度です。さらに小型原子炉は原発を複雑化している元凶である制御棒がありません。炉心のサイズが小さいので万が一の事故時には連鎖反応が自然に止まります。運転員も要らず金属燃料の交換も40年必要ないのです。
この本では、原子爆弾の説明からチェルノブイリ事故の原因、そもそも世界で使われている原子炉は原子力潜水艦と同じ軽水炉がほとんどなど、原発の原理と仕組みを理解することができます。
<目次>
第一章 日本のナショナルプルジェクトを愚弄し続けた反骨の男
服部と原子力の出会い
第二章 世界のスタンダード「原発の安全基準」を作ったのは服部だった!
第三章 技術屋は必要なし、すべては経済原理
浜岡原発建設への危い道
第四章 これまでゴミだった「ウラン238」を使用
夢の高速増殖炉「もんじゅ」開発に参画した服部
第五章 “大型・複雑化・ハイコスト”こんな原発ではダメだ
理想の形を求め続ける服部の眼にとまった「乾式再処理法」とは?
第六章 超巨額の予算投入でも「6カ所村施設」「もんじゅ」「ふげん」
いまだに稼働せずの怪 日本政府の“狂気の沙汰”
第七章 燃料無交換の金属棒、ナトリウム冷却材、自然停止する炉心
安全な「超小型原子炉」だけが世界を救う
第八章 カプセル収納型の夢の発電機
一万キロワットの超小型原子炉「ネイチャー・セル10」
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