本書は、日常のささいな部分に着目した「さまざまなコンディショニング法」を紹介しています。感情やメンタルの状態と自律神経は密接に関係しています。つまり、ちょっとした行動パターンや習慣、考え方やコミニュケーションによって、自律神経は簡単に乱れてしまいます。モノを取り出すために、鞄の中を探し回る。そんな些細なことで私たちの自律神経は乱れ、仕事の集中力は大きく下がってしまうのです。
整える習慣 (日経ビジネス人文庫 B こー16-1) [ 小林 弘幸 ]
自律神経にはふたつあります
人間には自分の意思で動かせる部分とそうでない部分があります。手足や口などは自分の意識で動かせますが、内臓、血管などは自分の意思で動かすことができません。この「自分で動かせない部分」を司っているのが自律神経です。そして自律神経には「交感神経」と「副交感神経」のふたつがあります。交感神経は「体を活動的にするための神経」で車で言えばアクセルのようなもの。副交感神経は「体を落ち着かせ、休めるための神経」です。車のブレーキのようなもので、睡眠時や食事のあと、栄養を吸収するときなど、体が落ち着かなければならないときに優位になります。
自律神経のバランス
何かしらの活動をするためには交感神経が高く、冷静で落ち着いた思考力、集中力を発揮するには副交感神経も高くなくてはなりません。また、自律神経には日内変動があって、1日の中でも「交感神経優位」「副交感神経優位」の時間帯がそれぞれあります。朝起きてから日中にかけては副交感神経が優位で、夜寝る時間帯に向かって少しずつ副交感神経が優位になり、スムーズに睡眠に入ります。
自律神経は血流を司っています
交感神経は血管を収縮させる働きを持っていて、副交感神経は弛緩させる働きを持っています。交感神経が過剰に高くなると、血管は収縮し、血流が通りにくくなり、副交感神経が高く、交感神経が高まっていないと、今度は血管が弛緩した状態になり、体全体に血液を適切に運ぶことができなくなります。たとえば、脳に十分な血液が運ばなければ、酸素が不足し、脳のパフォーマンスは下がります。脳の機能が低下すれば、判断力や集中力が下がり、感情のコントロールが効かなくなるなど、さまざまな弊害をもたらします。
極論すれば、健康な体とは「良質な血液」が「良好に流れている」ことです。たとえば怒りを感じると、交感神経が高ぶり、血液の質も低下し、血流も悪くなります。脳を始め、体の機能も低下するので、ベストな判断力、集中力、パフォーマンスが発揮できなくなります。寝ているときは、副交感神経が十分に高まらないと休息することができません。すぐできる行動により、コンディショニングを整えて、日々のクオリティを高めることができる。朝起きていっぱいの水を飲むなど、ほんのちょっとしたことなんだと知ることができます。
<目次>
第1章 まずはモノを片づけて、心を安定させるーー身の回りの整え方
第2章 一日ごとの体の変化を意識するーー時間の整え方
第3章 無理したつき合いは絶つーー人間関係の整え方
第4章 体のスイッチを意識するーー体の整え方
第5章 食べ物と食べ方を少しだけ変えるーー食の整え方
第6章 今夜の振り返りが、スムーズな明日をつくるーー行動パターンの整え方
第7章 ストレスには正しく対処するーーメンタルの整え方
第8章 自分のタイプを知るーー自分らしさの整え方