日本人に足りていないもの

知識が広がる本

マッキンゼーをはじめとする外資系のコンサルティング会社は、とにかく頭のいい人を求めていると思われています。しかし採用の決め手になるのは、地頭でもケース問題の正解率でもありません。これからキャリアの基礎を築いて、日本を変えたいと思っている若き学生に、ぜひ読んでほしい一冊です。

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考えることが好きな人、あまり考えていない人とは
思考力の高い人とは、考えることが好きで(思考意欲が高く)、かつ、粘り強く考え続ける思考体力があるため、結果として「いくらでも考え続けることができる人」のことを言います。過去においても、ものすごくいろいろなことを深く考えてきています。意外とケース問題をサクサクと答えを出すスマートな人の中にも、日常生活では何ひとつ深く考えたことがない人がおり、そういう人は「思考力が高い」とは呼ばないのです。

処方箋能力が重要
頭がよいという概念を構成する能力に分析力(処理能力、理解力、洞察力)があります。しかし、これらはまだ前半部分です。「では、どうしたらよいのか」という処方箋を書く能力がないと、解決策にはなりません。たとえば、「海外製品に比べて価格が高いから売れていません」→「ではさらにコストを削減し、原価を下げましょう」では、話になりません。コストの高い日本で利益を出すには、高い付加価値が得られるビジネスとはを考え、これまで存在しなかった儲ける仕組みを新たに設計して提示することが、処方箋として必要になります。

なんでもできる優秀な人を求めているは誤解
マッキンゼーでは、バランスが崩れてもよいので、何かの点において突出して高い能力をもっている人が実は高く評価されます。ある一点において卓越したレベルにある人を「スパイク型人材」と称し、採用時も入社後も「彼、彼女のスパイクは何か」という視点で人材を評価します。ただし、スパイク型の人は一人で仕事をしてもうまくいきません。しかしチームで成果を出せばよいのであって、自分が至らない他の部分については、有能な部下を雇えばよいだけです。

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<レビュー>
日本人に欠けているリーダーシップ
マッキンゼーが人材で求めているのは、英語力とリーダーシップと地頭です。特に日本では英語力とリーダーシップが欠けています。インターンを経験した学生は英語の必要性を強烈に感じ取ります。英語ができないと世の中に通用しないのです。そして様々な問題を解決するには「問題解決スキル」と並んで「問題解決リーダーシップ」も必要です。日本人の多くは「リーダーは、ひとつの組織に一人か二人いればいいもの」と考えています。あまり主張せず、リーダーの指示に従うほうが、組織全体としていい結果につながると考えます。しかし、一人だけリーダーシップをもつ組織より、全員がリーダーシップをもつ組織の方が圧倒的に高い成果を出しやすいのです。技術だけでは何も解決しないのです。

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