無駄なエネルギーを使わず「いかに生きるか」

知識が広がる本

世の中には、自分の力の及ぶものと及ばないものとがある。力の及ぶものとは判断、努力、欲望、嫌悪など自分の意思により生み出し獲得できるもの。一方、力の及ばないものとは、身体的条件や財産、名誉、地位など、自分の意思だけではどうすることもできません。力の及ぶものに関しては、自分でコントロールでき、他人から禁止されることも、妨害されることもありません。反対に力の及ばないものは、相手次第で邪魔されやすく、他人にコントロールされてしまいます。

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世の中には自分の自由になることと、ならないことの二つがある

たとえば早寝しようとか、くよくよしないように決心するなどは難易にかかわらず、自分で選択できる。これに反してどうにもならないものがある。たとえば名声である。戦後、最も有能な首相は吉田茂だったということに、たいていの人は反対しないであろうが、当時の新聞を見ると吉田茂に対しての悪罵が紙面に溢れている。ギリシャのソクラテスでさえ、自らの価値を他人から認められず非業の死を遂げました。つまり、他人の思わくなどは、いくら考えても自分の自由にはなるものではないのです。自分の選択のきく範囲では、つまり自分の意思次第のことに関してはできるだけのことをやり、その結果に対する他人の思わくを気にしたところで仕方がないとうことです。

心の持ち方ひとつ

「私は君より金持ちである。だから私の方が優れている」あるいは、「私は君より話すのがうまい。だから私の方が優れている」。この考え方は、自分の価値は、自分という存在そのものにあり、外面的な成功とか失敗にあるのではありません。つまり、金持ちは経済状況は優れている、話し方は優れているだけであって、全部が優れているように解釈することは間違いである。また、自分の意に反して押されたり、蹴飛ばされたりしたら誰でも腹を立てるでしょう。しかし、意に反して悲しまれたり、みじめな思いをされても、それをやめさせる対抗手段をあまり考えないのではないでしょうか。自分の気持ちまで他人にゆずる必要はありません。

ストア哲学を現在の心理学で説く

この本は、「いかに生きるか」を説いたストア哲学のエピクテトスをわかりやすく現在版として解説しています。精神分析学者である現著者ダイアーは、現在のアメリカ人の問題を職業的に扱っているうちに到達した結論が、エピクテトスの哲学とまったく同じであることに気がつきました。通俗心理学書を読むような気軽さで読み進めているうちに、いつの間にか、ストア哲学の最善の部分を知らないうちに学ぶことができます。

「人は自分で判断するようになると、卑屈な隷属感からではなく、やるべきことを進んでやる、あるいは義務としてよろこんでやるようになるものだからである」この言葉で私自身が思い出すのは、いつものように中学校に通う朝、3歳くらいの女の子がニコニコしながら話しかけてきました。「お兄ちゃん、学校いくの〜。いいな〜。私も早く勉強したいな〜」この言葉を聞いて、義務教育だから仕方なく学校に行っていた自分がいたのですが、我にかえりました。何気なく学校に行って言われて勉強している自分に気がついたのです。このことは私にとって幸運でした。「学ぶことは最高の贅沢」に気がつかせてくれたのです。自分で考えて行動することがいかに大事だというストア哲学のエッセンス満載です。

<目次>
1 「いい人生」を生きるための約束事
2 簡単にできる「心の鍛え方」
3 無駄なエネルギーは使わない
4 「自分は自分」と賢く割り切る
5 もっと「動ける人」になる
6 生きるのが断然ラクになる「現実」とのつき合い方
7 人生で成功する人の「いい習慣」

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