一介の主婦が長野の山の上で一人で始めた、パンと日用品の店「わざわざ」。移動販売と自宅の玄関先での販売からスタートして、今では3億円の売り上げがある企業となりました。ふつうではないパン屋はなぜ、こんなにも支持をされるのでしょうか。
<はじめにの内容>
人生の前半戦は挫折の連続
著者は友達も全然できず、誰とも話が合わず、疑問や違和感を抱いたことに対して、「なんでそうなっているの?」「どうして?」と、ずっと問うてしまう子どもでした。そんな、しつこい子どもの疑問に答えてくれる人はそんなに多くありません。学校でもあまり受け入れられず、うまく生活はできませんでした。
世の中の違和感
パン屋は長時間労働・薄利多売がふつう、飲食業においてロスが出るのはふつう、質がいいものよりブランド名に惹かれる人がいるのはふつう。働き方、お金の使い方、家族のあり方、会社のあり方、そういった、生きる中でぶつかる自分の違和感に一つずつ向き合いながらつくってきたのが、パンと日用品の店「わざわざ」です。
正直すぎるパン屋
長時間労働がおかしいと思えば、そうしなくて済む製法を自ら研究したり、自分が作っているパンが人の健康を邪魔していると感じれば、そのパンを作ることを急にやめたり、意地悪なお客さんが来たらブログに「来ないでください」とあけすけに書いたりしました。とても嫌な人間に見えても仕方がありませんが、自分の気持ちを正直に信じてきました。
<レビュー>
著者はやりたいことが見つからず、都会でやっと夢が見つかったDJの仕事も失敗し、長野の地へ。ふつうと言われる仕事に就職し努力も続けたけれど、また道から外れてしまいます。結局は「やりたいこと」と「できること」が一致していないことを悟り、「できることを掛け算しよう」と考え方を改めました。趣味の一つであるパン作りは評判でしたが、そこから山の上のパン屋という道へと突き進みます。何も無いところからの出発なので苦難の連続ですが、売れていたチョコレートパンを買う常連客がみるみる太ってしまったのを見て、突然つくるのをやめてしまいます。自分でつくったパンが体に悪いからといってやめるなんてめちゃくちゃですが、このエピソードがこのパン屋を物語っています。
<目次>
「ふつう」が育まれないまま、大人になった
3日間で逃げ出した就職先
東京でやっと見つけた「やりたいこと」
「等価交換」じゃないことが、どうしても無理
世の中の「ふつう」を試してみよう
「やりたいことを探す」のをやめることにした
山の上に店をつくった理由
偏りもヒエラルキーもない場所
健康的な働き方とは?
どこで売る?(どこでどうお金を稼ぐのか)
何を売る?(何をお金に変えるのか)
誰に売る?(誰からお金をもらうのか)
ほか