海の底でひっそりと生きているナマコ。実は目も心臓も脳もありません。「え〜」と驚く生き物です。この本ではそんな不思議な生態を物語ふうにしながら写真やイラスト入りでおもしろく解説しています。
ナマコは平気!目・耳・脳がなくてもね! 5億年の生命力 [ 一橋和義 ]
<本文より抜粋>
ナマコは古事記にものっています
日本ではナマコは「海鼠」と書き、「海のねずみ」という意味です。古くは「古事記(神代篇其の六)」で「コ」と呼んでいたようです。ナマコの古い名前は現在も珍味の呼び名の中に残っています。江戸時代から続く日本の珍味として「このわた」「からすみ」「ウニ」のなかの「このわた(海鼠腸)」は「コ」の腸(はらわた)の意味でナマコの内臓の塩辛なのです。
ナマコの謎の生態
ナマコは物理的な刺激を与えたり、水質など環境が悪くなったりしてストレスがかかると内臓をお尻から放出することがしばしばあります。これを「吐臓」といい、食道のところから自分で内臓を切り離すのです。内臓が無くなっても再生しますが、1〜2ヶ月もかかります。その間はもちろん食事はできませんが、なんと体を少しずつ溶かして、それを栄養に生きるのです。
ナマコの食事スタイル
ナマコはただひたすら複数の触手を海底の砂や泥を口に運び、砂や泥に含まれる微量な有機物を栄養として取りこんで生きています。食べた砂や泥はきれいな砂や泥となり、数珠つなぎのような長いフンとしてお尻の穴から放出します。その量は1日およそ体重の4分の1の砂や泥を食べることがわかりました。
<レビュー>
なまこは目も耳も脳も鼻もありません。口と肛門というとてもシンプルな構造です。呼吸はお尻から吸った新しい水を呼吸樹に送って息をします。皮膚は自由に硬さを変えられ、体がちぎれても再生します。魚には有毒なサポニンももっており、塩だまりの魚がみんな浮いてしまうほどの強い毒なのです。人間には毒というよりむしろ薬として水虫の治療薬にもなっています。5億年前から生きていますが、近年は中国なので高値で取引されているため、昔は足の踏み場もないほどいたナマコは、乱獲により絶滅危惧種になっている種類もいます。なんともわけのわからない生き物ですが、地球が生んだ神秘な生き物です。
<目次>
海底へ/アルマータ姉さんとの出会い/ナマコたちの共感/海の底のおそうじやさん/脳ないない/マナコ、5億年の歴史/海の生き物の小さなクッキーとマリンスノー/おだやかなものにも毒がある/アルマータ姉さん、まっぷたつ/ナマコたちのダンスパーティー:真っ暗闇の世界へ/ふわふわ泳ぐユメナマコ/宇宙のような深海/南国の海へ/クロナマコのお化粧/冬眠ならぬ夏眠/赤色の美しいアカミシキリ/ニセクロナマコのねばねば攻撃/シカクナマコの護身術/ジャノメナマコもねばねば攻撃/ナマコは快適物件/ウミヘビのようなオオイカリナマコ/コッペパンのようなハネジナマコ/人間の争いとナマコの危機/バイカナマコ、花ざかり/流れ藻にのって/地上へ
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