成瀬あかりはマイペースに生きている。そして言うことはスケールが大きい。小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「二百歳まで生きる」。その夢のために何をすれば良いのか本当に考え、日々実行している。中学の期末テストで500点満点を取ると宣言した時は、四百九十点だった。そんな彼女が中学2年になった時、また目標を宣言した。「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。閉店する西武百貨店に毎日通うというのだ。
成瀬あかりは、園児の時から一線を画していた。走るのは誰よりも速く、絵を描くのも歌を歌うのも上手、ひらがなもカタカナも正確に書けた。そう、一人でなんでもできてしまうタイプの人間だ。そのため、学年が上がるにつれ孤立していくのだが、本人は他人の目を気にすることはない。自分の目指す目標に向かって行動する。「どこ行くの?」と聞くと、「しゃぼん玉を極めようと思う」と言って出かけていくのだ。今度は何をするのか。まわりの人たちはそんな彼女の魅力に惹かれ、そして巻き込まれていく。