「人は誰でも、自分のことは自分で決めていると思いたがる」衝撃な一文で本書は始まる。まるでSFのような世界。寄生生物には発疹、病変だけではなく、科学者が仰天するような隠れた力をもっている持ち主がいるのです。なんと宿主の行動を操るための様々な不正手段によって、マインドコントロールをおこなうのです。それは人間も含まれているのです。
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危険な行動をとりがちな人は・・・
世界中で3人に1人が感染していると言われるトキソプラズマ原虫。この微生物は主にネコからヒトへと感染し、脳に住みつくのです。 医学的には、感染しても妊婦などでなければさほど問題はないとされていたのですが、心理学者や神経科学者らの研究では、人の気分や性格を変えてしまい、そのせいで感染者が危険な行動を取ったりすることがわかってきました。
とくに感染している男性では、規則を破り、人と打ち解けない傾向が強く、交通事故に遭いやすくなるというのです。それに対して女性は規則に従い、社交的な人格をもつ傾向があった。 それだけではない。統合失調症とのかかわりも指摘されている。統合失調症の人はドーパミン値が高いのだが、トキソプラズマの居ついたニューロンは3倍半も多くドーパミンを生産しており、脳内にたまっていることが発見されました。
ネコに惹かれるネズミの話
トキソプラズマは、ネズミからネコへと移るのですが、その方法も魔術のようなのです。もともとネコを嫌うはずのネズミですが、異常に活発になりネコに惹かれるようになってしまいます。そのからくりは複雑多様で、ネズミの性ホルモンに作用し、嗅覚を変えることによって、ネコをセクシーに感じるようにしてしまうというのです。ネコにわざわざ食べられやすい行動をネズミがすることにも驚きですが、人間でも感染した男性は、ネコの尿のにおいを好ましく感じるようになるのです。ネコ派かイヌ派かは、自分の考えではなく、そのようなことが原因かもしれませんね。
腸内細菌でも性格が変わる?
腸内細菌 も例外ではありません。
腸内細菌を入れ替えると、マウスの性格そのものが変わる実験もあり、人間の鬱や不安改善への応用研究も進んでいます。
そして著者は問いかけます。
嫌悪感や道徳観、政治的な傾向、さらには社会のあり方までも、寄生生物の影響で形づくられているのではないか、と。
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読めば、自分の「行動」が自分だけのものではないかもしれないという驚きに包まれるはずです。日本人は味噌、醤油、納豆、日本酒などの発酵文化に囲まれていますが、平和を望み、穏やかな性格はこのことも影響があるのではと思ってしまいました。そして私事ですが、なぜかガソリンスタンドのガソリンを入れている時のニオイが好きなのです。これも何かの細菌や生物の影響を受けているかもしれません。小さいときには玄関に置いておいた●油をチューチュー飲んでいたというのです。※危険なので皆さんはおやめください。