老舗三日月ホテルに勤務するホテルマンが、自由奔放な書道家から手紙の代筆を頼まれるのだが、、、
西新宿にある老舗三日月ホテルに勤務する続力(つづきちから)はあらゆる人に声をかけられてしまう「話かけやすい」オーラを放ったホテルマン。ひょんなことから、京王線下高井戸駅の線路沿いの道を三軒茶屋方面に進んでいちばんボロい家で書道教室を営む顔も年齢もわからない遠田薫(えんだかおる)へ仕事を依頼しに行くことになりました。あらゆる筆跡を自在に書き分ける特技を持った遠田。そこへ小学生からの依頼を受け、続力は小学生になりきって代筆の文章を考えるというやっかいな仕事を依頼されることになるのだが、、、
三浦しをんさんは人物や背景の描写が素敵な作家です。書道教室で遠田が小学生たちへ「風」という字を教えるシーンでは、「文字を通して自分が伝えたいことは何かを考えてみるんだ」ということをわかってもらうために「筆を膀胱?」という表現で子供たちからブーイングされたりするところなど人間味が溢れ、魅入られていきます。