起こりうる未来を、地政学で読み解く

知識が広がる本

地政学は、地理的条件を基軸として世界各地の軍事や外交などを読み解く学問です。地図を広げて考えたほうが各国の思惑が透けて見え、国際情勢をよく理解できるようになります。ロシアがウクライナ侵攻をなぜ行うのか、中国による台湾侵攻の噂、北朝鮮のミサイル問題など日本も他人事ではない世界の動きを地政学の視点で、地図や写真を豊富に使い、わかりやすく解説しています。

地政学で読みとく「これからの世界」 図解でよくわかる (ビジュアルで身につく「大人の教養」) [ 村山 秀太郎 ]

地理的条件で考察

国際情勢を読み解く際には、政治、経済、社会なども重要ですがそれらは時代によって変化します。その点、地理はいつの時代も変わることがありません。例えば日本やイギリスは島国であることや、ロシアとヨーロッパ諸国が大陸に位置していて隣り合っていることなどは動かしようがありません。それらを前提に国際情勢をみると、なぜ中国は海洋進出を狙っているのか、ロシアが日本の北方四島を返還しないのかなどがクリアになります。

シーパワーとランドパワー

地政学でとくに重要なのがシーパワーとランドパワーです。シーパワーとは国家が海洋を支配して活用する力、ランドパワーとは陸地を支配して活用する力を意味します。シーパワーの国は国土の周辺を海が接する日本、イギリス、アメリカなどが該当します。ランドパワーの国の代表格はロシアと中国です。ただし、ランドパワーの国は閉鎖的になりがちで、より豊かな土地を求めて海洋へ勢力を拡大する傾向が見られます。そのためランドパワーとシーパワーは対立する構図が生まれやすいのです。

ハートランドとリムランド

ハートランドとリムランドは「地域」に関する概念です。ハートランドはユーラシア大陸の最奥部、ロシアを中心とする地域を指します。ここは基本的に海から外敵に侵入される恐れがありません。リムランドとは、ハートランドの周辺(リム)のことで、北西ヨーロッパから中東、インドネシア半島を経て東南アジア、ユーラシア東部沿岸地域に至る一帯を指します。中国、インド、スペイン、フランスなどは気候が温暖で人口が多く、経済の発展した国が目立ちます。そのためロシアのような環境の厳しい国がリムランドに進出して衝突が起こるケースが多いのです。

地政学的なものの見方をすると、それぞれの国の思惑が見えてきます。世界の「いま」がどうなっていて、「今後」はどう変化していくのかは専門家でさえ難しい状況です。今回のウクライナ侵攻もロシアは挑発し続けていましたが、多くの専門家は「侵攻はないだろう」と考えていました。中国ではランドパワーに加えてシーパワーの獲得を目指す動きを見せています。当初中国は2010年までに第一列島線、2020年までに第二列島線の制海権を確保するという目標を掲げていました。現に南シナ海では人工島をつくって軍事拠点化したり、領有権争いが続いています。そのため、台湾侵攻も予断できない状況であることが理解できます。

<目次>
●Chapter1 話題の国際情勢を地政学で考える
ウクライナ侵攻
北方領土問題
アメリカと中国の新冷戦
中国による経済圏「一帯一路」構想
中国・台湾問題

●Chapter 2 アジアの地政学
アジアの地政学
中国の海洋進出
緊張高まる南シナ海
中国とロシアの複雑な関係
ウイグル問題
中国・インド・パキスタン 南アジアで抗争
インドの対中国戦略
北朝鮮の瀬戸際外交
オーストラリアの対中国戦略
地政学でひもとく中国史

●Chapter 3 アメリカの地政学
アメリカの地政学
「世界の警察」からの引退
中東との関係
シェール革命
中南米諸国の左傾化ドミノ 
キューバとの関係
中国包囲網
地政学でひもとくアメリカ史

●Chapter 4 ヨーロッパ・ロシアの地政学
ヨーロッパ・ロシアの地政学
EUの拡大
ブレグジット
EUの経済格差
ロシアの資源戦略
北極争奪戦
地政学でひもとくイギリス史
地政学でひもとくロシア史

●Chapter 5 中東の地政学
中東の地政学
トルコの外交戦略
イランの地域覇権主義
サウジアラビアとイランの対立
パレスチナ紛争
対イラン包囲網
シリア内戦
アフガニスタン紛争
クルド人問題
地政学でひもとくトルコ史

●Chapter 6 日本の地政学
日本の地政学
尖閣諸島問題
沖縄の米軍基地
韓国と北朝鮮の反日政策
核シェアリング
地政学でひもとく日本史

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