自閉症の人が教えてくれた「自閉症」のこと

知識が広がる本

『自閉症の僕が飛び跳ねる理由 東田直樹』

自閉症とはどのような障害なのかを知ることができます。著者の東田直樹は私たちが思っている以上に会話が難しいことを教えてくれています。本を読んだり歌ったりできるのに、人と話をしようとすると言葉に詰まるのです。幸にも筆談というコミニュケーション方法を得ることで会話ができるようになりましたが、多くの自閉症の方は自分の気持ちを表現する手段がないのです。

口での会話がむずかしい

私たちが普通に意思を伝える手段に会話があります。話せないということは、自分の気持ちを伝えられないことなので、孤独で夢も希望もなく、ただ与えられた毎日を人形のように過ごすことになります。筆者は長い時間をかけて筆談という話すという神経回路を使わずに、本当の自分の言葉を伝える手段を得ました。

大きな声はなぜ出るのか。

ひとり言が大きくてうるさいと言われるますが、本人も言いたくて声をだしているわけではなく反射のように出てしまうそうです。何に対する反射かというと、その時に見た物や思い出したことに対する反射です。それが刺激になって言葉が出てしまうのです。本当は静かにしたいのですが、そのやり方がわからないのです。呼吸のように自然と出てしまう感じです。

どうして何度言っても分からないのか?

よく言われる言葉ですが、わざとやっているように見えますが、そうではありません。やっている時には前にしたことなどあまり思い浮かばずに、とにかく何かに急かされるようにそれをやらずにはいられないそうです。みなさんが呆れていることも、悲しんでいることも分かっていますが、やめられないのです。

言葉使いについて

成長しているのに赤ちゃん扱いを受けます。しかし赤ちゃん扱いをされるたびに、みじめな気持ちになり、永遠に未来は訪れないような気持ちになるそうです。難しい言葉を使って話して欲しいわけではなく、年齢相応の態度で接して欲しいのです。
言葉の使い方も普通の人と違っていたりすることがあります。普通の人は、話をしながら自分の言いたいことをまとめられますが、僕たちは本当に言いたい言葉と話すために使える言葉が同じではないことがあります。そのために話す言葉が不自然になるのです。本なども内容を想像しながら読めません。読むことで精一杯なのです。

すぐに返事をしないのはなぜですか?

普通の人はすごいスピードで話ができます。頭で考えて、言葉が出るまで一瞬です。自閉症の人は話を聞いて話を始めるまでものすごい時間が必要です。相手の言っていることがわからないのではなく、自分が答えようとする時に自分の言いたいことが頭の中から消えてしまうそうです。この感覚は普通の人には理解できないと思います。言おうとした言葉が消えてしまうと思い出せず、自分が何と話そうとしたか分からなくなります。

この本を読む前は「自閉症」を誤解していました。独り言で大声を出していることや、返事をしないことなど、きちんと理解をしていないのではなく、やめ方やコミニュケーションがうまくできないだけということを筆者は教えてくれました。できないことが多いことで、人として生きてはいけないと感じていたそうです。「自閉症」を知るのに最適な一冊です。

<目次>
第一章 言葉について 口から出てくる不思議な音
第二章 対人関係について コミニュケーションとりたいけれど
第三章 感覚の違いについて ちょっと不思議な感じ方。何が違うの?
第四章 興味・関心について 好き嫌いってあるのかな?
第五章 活動について どうしてそんなことをするの?

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