身体構造から体の連動を科学的に解説

知識が広がる本

この本は武道の本ですが、形や技の解説書ではありません。自分の身体を自然物として扱い、全身の連動を感じるコツを説明しています。たとえば走るのに足の筋肉100の力だけで走るのではなく、10の力を10箇所から出せば、疲れないし力も出る。理解ではなく、実際に動かしてみて体で感じることが重要です。

考えるな、体にきけ! 新世紀身体操作論 [ 日野 晃 ]

連動的に身体を動かすには

武道では腰が大事、丹田が大事だと言われています。たしかに重要ではあるが、この本では腰を意識してはいけないと語っています。腰や丹田を意識すると力みがうまれ、効率的な全身全体を使った動きができなくなるそうです。

人体の構造は「柔構造」である

人の成り立ちの一つとして、構造的な仕組みがあり、目に見える骨格や筋肉系、神経系、臓器、血管、体液系と、目に見えない意識や感情、意思や精神の構造。その構造それらを総称して「身体」といい、互いに影響しあっている。その構造にとって重要な共通項は「柔構造」だということです。体内の臓器などは体液に守られ、それらは筋肉によって守られている。硬い骨でさえ、関節部は軟骨というクッションになっている。だから連動した有機的な動きが可能になります。

胸骨の操作が身体運動と連動する

日野理論の実際としての肉体操作で、その核になるのが「胸骨」である。胸骨を意図的に作動させることで、胸骨に隣接する肩甲骨を働かせ、肋骨を含む上半身の自由性が生まれ、腕の稼働領域を広げることができるそうです。そして、胸骨の操作は、脊椎運動を通して、身体を連動させて手や足から力をだすばかりか、運動効率を高める「身体の要」と言えます。

私がこの本を読んで胸骨の引き上げをする方法が意外なところで役にたちました。今までは満員電車の中での揺れに対し、足の指に力を入れて揺れに耐えていましたが、胸骨を意識し引き上げるかまえをすることで楽に揺れに耐えられるようになりました。揺れに耐えるために意識をするのは足の指先では無かったことがわかりました。身体を科学的に解説したおもしろい本です。タイトルの通り、実際に写真による解説を見ながら実践して体で感じてほしいです。

<目次>
第1章 最大効率の身体状態
1 柔構造でなければ成り立たない!
2 「胸骨」の操作が身体運動のシステムを変える
3 手ではない! 肘を動かせ!
第2章 力の生み出し方1 ~ラセン
1 纒絲勁という連動システム 
2 “身体定規”を作れ! 
3 全身連結拠点“腹”の感覚
第3章 力の生み出し方2 ~体重移動
1 連動と膝の緩み
2 体重移動を活かせる足遣い
3 バランスの崩しと真正面の向かい合い 
第4章 脱・意識 ~“先入観”の向こう側
1 “意識”を超える
2 こころの妙

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