キルケゴールは何を語っていたのか。どう生きるべきか。生き方をどう選ぶべきか。「生きる」ということの意味は何か。キルケゴールはこうした問題を考え抜きました。
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<本文より抜粋>
「実存」を解き明かそうとした
キルケゴールは一人ひとりの人間の在り方に注意を向け、「実存」と呼ばれるものを解き明かそうとしました。けれども、人間の心の内にあるこうしたものを、どのように捉えたらよいのか。理性では把握できず、論理学でもおぼつかない。哲学的な体系で説明できなければ、神学でも解明することはできない。心理学に期待を寄せても裏切られる。ところが、「実存」はすべての中心に位置する。理性、論理学、哲学、神学、心理学ですら、この主観的な存在の上に築かれているというのである。
大学では哲学者とは呼ばない
頑なな人間はキルケゴールの思想を哲学とは呼びません。しかし、キルケゴールがある種の哲学に命を吹き込んだことは間違いありません。今日「実存主義」という名で知られている哲学を産み落とした人物です。第二次世界大戦後のパリの知識人たちは絶望に陥っていました。信じるものがなく、共産主義も、スターリンが台頭し、信用が失墜しました。この風潮のなかで、実存主義が登場しました。実存主義は人々に何かを信じることを要求しません。それどころか、絶望を抱くことは避けられないと主張する。人間である以上、絶望を感じないわけにはいかないというのです。
「本当の自分の発見」とは何か
「本当の自分」があらかじめ固定されているのならば、人間の「到達すべきもの」がはじめから決められていることになる。逆にあらかじめ固定されていないのであれば、どうだろうか。そもそも「発見」というからには、前もって「発見」するものがなくてはならない。ところが、ほとんどの人間は、最初の人生の選択肢がたくさん並んでおり、どのどれを選んでも「本当の自分」ではないのか。すべての潜在的可能性を開花することはとうていできないが、自分自身を「創造する」ことを強調すればよい。この「自分の創造」こそ、本当の自由である。
<レビュー>
何の本だったか「君はキルケゴールも読んだことがないのか?」という一説をビジネス書か何かで読んだことがあり、ずっと心に留めていたが、ふとキルケゴールの本を図書館で見つけることができた。キルケゴールは何を語っていたのか?「人間はどう生きるべきか」「生き方をどう選ぶべきか」「生きるということの意味とは何か」こうした問題を考え抜いたのです。否、考え抜こうとしただけではない。生き抜こうとしたのである。キルケゴールの人生そのものも、不安、苦悩、絶望の連続でした。国教会を「機械」と罵り、人々に敬愛されてやまない一人の牧師を偽善者として激しく攻撃したり、雑誌ではイエス・キリストが実際には存在しなかったことがわかっても、国教会はこれまでどおり存続していくだろうし、心地よい牧師の職を辞する者も皆無に近いだろう、と。予想通り大きな騒ぎになるのだが、人生のどのような問題もおろそかにしませんでした。人生について深く考えるきっかけになる本であることは間違いありません。
<目次>
キルケゴール 思想の背景
キルケゴール 生涯と作品
結び
キルケゴールの言葉
哲学史重要年表
訳者あとがき
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