自分には絶対に明るい未来がある

歴史・哲学の本

2024年致知12月号
<特集 生き方のヒントより>
「真理は月の光のように満ちあふれている」作者不明
加山雄三さんの父が事業に失敗し、大きな負債を抱えた。インタビューアーがその頃を振り返り、「あんな時、どんな人でも背中に焦燥感が出るものだが、加山さんは全然そんなことはなかった。なぜですか」と質問した。加山さんは「それはおばあさんのおかげです。僕を小さい頃から可愛がってくれた人ですが、子どもの頃になにかあるたびに、“お前はいま試されているんだよ”と言い、“荷物が重いのではない。担ぐ力が弱いんだ”と言ってくれました。そういう言葉が身についていたからだと思います」祖母の言葉を反芻することで、加山さんは自らの人格を錬成していったのでしょう。
真理は月の光のように満ちあふれているのです。

過去を生かすも殺すも 今、ここの生き方にかかる
青山俊董
幽霊には三つの特徴があり、おどろ髪をうしろへ長くひいている。両手を前へ出している。足がない。この三つを伝うというのである。おどろ髪をうしろへ長くひいているというのは、済んでしまったことを、いつまでもひきづり続けること。反省とひきずるというのは違う。両手を前へ出しているは、来るか来ないかわからない未来を「ああなったらどうしよう」と心配し、とりこし苦労していること。足がないは、生きているということは、「今、ここ」でしかないのに、心が過去や未来へととんで、肝心な今ここをとりにがしている姿をいうというのである。

吉田松陰の言葉が教える人生の要諦
田中正徳 上田俊成
松陰先生の教育の特徴は、一人ひとりの個性を伸ばしていく、個別指導、自主性を引き出していく自立学習にあります。塾生の一人が「余(吉田松陰)は穏やかに人を論し、自ら悟り、自ら省みるところあらしむるように心掛くるものなり」という言葉を残しています。その松陰先生の教えを現代に蘇らせたら、どんな教育をするだろうと考えたところ、個別学習塾にたどり着いたのです。長年たくさんの生徒を見てきて、まずは基礎学力ができていない子は何をやっても先に進めないし、自信もつかず落ちこぼれてしまう場合が多い。まずは基礎学力を身につけさせることが根本にあり、次に講師に教えてもらうだけでは生徒に依存心が生まれ、インプットに偏った受け身の学習になり、成績も伸びませんでした。ですので、まずはわかるところから始める。わかるまで先に進まない。わかるまで繰り返す。

吉田松陰の教育者としての真骨頂をいかんなく発揮したのは、野山獄での「獄中教育」からです。ペリーの黒船来航に衝撃を受け、海外の実情をたしかめたいと、アメリカ艦に乗り込みましたが、試みは失敗に終わり、野山獄に入れられてしまいます。刑期がなく永久に出れない、生きる望みもない状況で、十一名の囚人に何とか望みを持たせたいという思いから、相手の話を聞き、相手に応じて適切な手を打ち、皆の役に立つことをすることで信頼を得ました。その頃に勉強会をやろうと提案し中国古典の「孟子」などの講義を始め、代表作「講孟余話」へ結実していくのです。生きる望みがなかった囚人たちがどんどん明るくなり、その変化を松陰先生も「愉快だ」と書き残しています。その後、幽囚室での謹慎を命じられますが、獄中教育の経験が伝説の松下村塾での教育に繋がっていきます。

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