2024年致知9月号
<特集 貫くものをより>
「真の活学は人間の相を変え、運命を変える」
とは安岡正篤師の言葉。ある社員は育った環境が悪く、常に誰かのせい、何かのせい、社会が悪いのだと思っていたが、致知と出会って、「誰かのために」「何かのために」、まずは自分から行動することを決意したのだそうだ。活学は行動あって意味がある。
<IPS細胞を活用したがん治療で夢の医療を実現するより>
金子新 髙田明
難しいことをいかに分かりやすく伝えるか
髙田 誰が聞いても分かる言葉に置き換えなければ伝わらない、というのが基本的な考えです。最近の掃除機はコードレスでどのメーカーも機能を進化させている。にもかかわらず、ジャパネットで「1.5kgで軽い」「モーターが何万回転する」ということを謳い文句にしようとしていました。「どう伝えるか?」その掃除機は部屋の空気よりも綺麗な排気を出すのが特徴でした。乳幼児がいる家庭ならばすごく喜ばれるので、赤ちゃんの映像を出してみたらとアドバイスした。医療の世界でもそういうのが必要だと思います。
金子 IPS細胞を使った免疫治療には2つの方法があり、一つは患者さん自身のIPS細胞からつくったT細胞を使う自家移植。もう一つは予め用意された他人のIPS細胞を分化させてがん細胞を感知するレセプターを持ったT細胞をつくり、患者さんに投与する他家(同種)移植です。他家移植は大量生産が可能だが、拒絶反応のリスクがあります。ですので自家移植を、コストも時間もかからない方法で完成させようとしています。
金子 今までのがん治療は、手術、抗がん剤、放射線の三つの方法で治していくのが主流でしたが、あらたに、がん免疫治療の研究が盛んになっています。がんを免疫の力でやっつけるには三つの要素が必要で、T細胞に絞ってお話しますと、一つはがん細胞を認識するためのレセプターです。一個一個の細胞は全部違うレセプターを持っていて、百万種類のレセプターの中のいずれかで特定のがんを認識することができ、認識できたT細胞だけががんと戦います。二つ目は、数で負けないこと。三つ目は一個一個のT細胞の体力です。この要素をどう満たしていくかが求められるわけです。
髙田 ビジネスの世界も研究の世界も、みんな同じでやっているつもりでそこに気づかない人は、「なんでうまくいかないんだ」って愚痴がでます。他責にします。本当にやる人はそうじゃないですね。愚痴は言わない、他責にしない。その姿勢を続けていったら必ず夢は成就する。「夢を持ち続け日々精進」とにかく、日々やり続け、過去や将来に囚われず、いまを生きることに意識を集中させる。成長プラス継続。これは企業でも研究でも共通だと思います。
<仕事と人生に生かすドラッカーの教えより>
佐藤等
人材育成とは自己成長を支援すること
仕事とは何か。何のために仕事をするのかが不明確な状態では、働く動機を換気することができません。目的が変われば、われわれの顧客は誰か。顧客にとっての価値は何か。われわれにとっての成果は何かも変わっていきます。
「仕事ぶり」に違いが生じるのは、その仕事を行うためのスキルや経験、仕事に向き合う心の姿勢が人によって異なるからです。仕事は人格の延長であるとドラッカーがいう意味がここにあります。仕事という機会を用いていかに自己を磨き、人として成熟していくかが問われています。
致知は読むには書店では売っていないので、定期購読が必要です。