日々の習慣で運も変わる

歴史・哲学の本

2025年致知8月号

<特集 日用心法>

映画評論家・淀川長治さんに学ぶ

「きょうという日は一度きり。きょうも一生懸命生きよう。だからニコニコしていこう」

これは、映画評論家・淀川長治さんの朝の習慣だった言葉です。毎朝、鏡の前で笑顔をつくり、心を整えて一日をスタートする。そんな日常の姿勢が、周囲の人たちに安心と元気を与えていました。

前向きな言葉と笑顔は、自分の心を整えるだけでなく、まわりの空気までも変えてしまう力を持っています。


京セラ創業者・稲盛和夫氏の「明るさが人生を拓く」

もうひとり、心の持ち方について深い示唆を与えてくれる人物がいます。京セラの創業者・稲盛和夫氏です。

彼は秘書に一枚のノートの切れ端を渡した。

「暗い人は失敗する。陰気な人間は失敗する。明るい人が成功する。人の長所を見つけられる人が明るい」

人の欠点に目を向けるのではなく、良いところに気づき、感謝し、認める。そういう心の姿勢が、運やチャンスを引き寄せていく。稲盛氏も、この考え方を日用心法として言い聞かせ、実践してきたのでしょう。


賢人と愚人との別は? 數土 文夫氏

日々の心の姿勢に加えて、もう一つ大切なのが「事実を記録し、そこから学ぶ」こと。

明治時代、日本に初めて「複式簿記」という考え方を紹介したのが、あの福沢諭吉でした。1873年、『帳合之法』という書籍を通じて、アメリカの商業簿記を翻訳・紹介。当時の日本にはなかった画期的な発想で、商業の発展に不可欠な道筋を示したのです。

約140年後の2012年、石原慎太郎・元東京都知事は「都の財政再建に最も効果があったのは、単式簿記から複式簿記への変更だった」と語っています。資産や経費を正確に把握できるようになり、無駄のない運営が可能になったのです。


「当たり前を当たり前に」を積み重ね日本一に 池田宜永市長

宮崎県都城市では、池田宜永市長のリーダーシップのもと、「日本一の市役所」を目指した改革が行われてきました。

その第一歩として、京セラのフィロソフィー研修を受けた講師の方を市役所にお招きし、全職員向けに価値観や行動基準についての勉強会を実施しました。ここで共有されたのは次の3つのシンプルで力強い指針です。

  1. 挨拶がすべての基本
  2. 結果にこだわること
  3. 重点項目を30に絞ること

この3つをベースに、職員一人ひとりが「どんな市役所を目指すか」を真剣に考え、取り組みがスタートしました。


「日本一」にこだわる理由

都城市の認知度を上げるために、市として注目したのが「日本一」という言葉でした。

なぜなら、日本で一番高い山は誰でも知っている「富士山」ですが、2番目に高い山の名前を知っている人は少ない。それと同じで、「日本一」のインパクトは圧倒的なのです。

実際、都城市は――

  • 牛豚鶏肉の総産出額が日本一
  • 焼酎出荷日本一の霧島酒造の本社所在地

という、全国に誇れる「日本一」を持っています。この2つに特化し、「肉と焼酎のまち」として打ち出していこうと決断したのです。


批判を恐れず、二つの名産に特化した戦略

当初は、市内部からも「他の業界から不満が出る」と反対の声が上がりました。しかし池田市長はぶれませんでした。「全体の知名度が上がれば、最終的には他の業種にも恩恵がある」と、丁寧に説明しつつも、ぶれない軸を貫きました。

その結果、ふるさと納税の寄付額は前年比50倍となる5億円を達成。そして2015年度にはついに、寄付額42億円で日本一に。

目先の利益にとらわれず、本来の目的を見失わなかったからこその成果でした。


組織づくりで最も大切なものは「人間力」

市長は、組織の土台は「人」だと言います。特別な能力ではなく、当たり前を当たり前にやる人間力こそが鍵だと。

たとえば――

  • 明るく、元気に、相手の目を見て挨拶をすること
  • 決めたことを、ブレずに実行し続けること

それは簡単そうで、実はとても難しい。だからこそ、「愚直に積み重ねること」が真の力になるのです。


市長の座右の銘に込められた思い

「努力に勝る天才なし」
「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」

この言葉を胸に、都城市はこれからも、「日本一の市役所」を目指して進み続けています。

最後に:あなたの「日用心法」は?

「日用心法(にちようしんぽう)」とは、日々の心の持ちよう・行動のあり方を指す言葉です。

大きな夢や目標を持つことも大切ですが、まずは今日という一日をどう生きるかが、未来を形づくります。まずは「明るい挨拶」から始めてみませんか?

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